薄毛の悩みを持つ人の中にはAGA(男性型脱毛症)だけでなく円形脱毛症という全く異なるメカニズムを持つ脱毛症を併発しているケースが存在しその割合はAGA患者全体の数%程度およそ2%から5%程度と推測されていますが決して無視できない一定数がこの二重の苦しみに直面しています。AGAは男性ホルモンと遺伝が主な原因で特定のパターン(生え際や頭頂部)に沿って数年かけて徐々に進行していくのに対し円形脱毛症はリンパ球が自分の毛根を敵とみなして攻撃してしまう自己免疫疾患でありある日突然コインのような円形の脱毛斑ができたり頭部全体が一気に抜けたりするのが特徴です。これらが併発するパターンとしては元々AGAで薄くなっていた人が強いストレスや体調不良をきっかけに円形脱毛症を発症し「急激にAGAが悪化した」と勘違いしてパニックになるケースや逆に円形脱毛症の治療中にAGAの進行が顕在化してくるケースなどがあります。この併発ケースの厄介な点は治療法が全く異なるということでありAGAにはフィナステリドなどのホルモン抑制剤が必要ですが円形脱毛症にはステロイド外用薬や局所免疫療法抗アレルギー薬などが必要となり片方の治療だけを行っていてももう片方の症状は改善しないというジレンマに陥ります。また併発している場合脱毛の境界線が曖昧になり専門医でも診断に迷うことがありますがマイクロスコープ(ダーモスコピー)を用いて毛根の状態を観察することでAGA特有の軟毛化と円形脱毛症特有の感嘆符毛(根元が細くなった毛)を見分けることが可能です。数%という割合は低く見えるかもしれませんが当事者にとっては「なぜ自分だけがこんな目に」という深い絶望感をもたらすものです。しかし現代医学では両方の疾患に対して有効な治療法が確立されておりそれぞれの病態に合わせた適切な治療を組み合わせることで両方を克服することは十分に可能です。自己判断で「ただのハゲだ」と決めつけたり「ストレスのせいだ」と放置したりせずに複雑な病態を見極められる専門医の診断を仰ぎ二つの敵に対して正しい戦略で立ち向かうことが大切です。
円形脱毛症とAGAを併発する割合の複雑さ