インターネット上の広告やSNSでの体験談などで「AGAが完治した」というセンセーショナルな言葉を目にすることがありますが医学的に厳密な定義に照らし合わせるとAGAにおいて「完治」という状態は存在しないというのが現在の皮膚科学会における共通認識です。完治とは風邪や怪我のように治療を行えば病気が完全になくなりその後は治療を継続しなくても再発しない状態を指しますがAGAは進行性の疾患でありその原因は遺伝的素因や男性ホルモンの働きといった体質そのものに根ざしているため根本的な原因を取り除くことは現代の医療技術では不可能です。では世間で言われる「完治した」とはどういう状態を指しているのかといえばそれは「薬の力によって薄毛の進行が止まり髪の毛が十分に生え揃った状態」つまり「見た目上の改善」を指しているに過ぎません。この状態はあくまで薬によって症状をコントロールしている寛解状態であり薬をやめれば再びヘアサイクルは乱れ始め脱毛が進行するというのが冷徹な現実です。しかし悲観する必要はありません。完治しないということは一生悩み続けなければならないという意味ではなく適切なメンテナンスさえ続けていれば薄毛でない人と変わらない豊かな髪を維持し続けることが可能でありこれを「実質的な完治」と捉えることは個人の解釈としては間違いではないでしょう。高血圧や糖尿病といった生活習慣病と同じようにAGAもまた上手く付き合っていく慢性疾患の一種でありコントロールできている状態こそがゴールなのです。「完治」という言葉の甘い響きに惑わされて怪しい高額商品に手を出したり一度生えたからといって自己判断で治療をやめてしまったりすることは最も避けるべき失敗パターンです。正しい知識を持つことは無用なトラブルから身を守り現実的かつ持続可能な治療計画を立てるための第一歩であり「完治はしないが克服はできる」というマインドセットを持つことがAGA治療の成功への鍵となります。医学の進歩は日進月歩であり将来的には遺伝子治療などで本当の意味での完治が可能になる日が来るかもしれませんが現時点では継続こそが力なりという原則を忘れずに地道なケアを続けることが最善の策と言えるでしょう。